毎日新聞に取り上げられました(2006年3月1日)

弁当の日:行事・おにぎり・自作、年に3回設定−−鷲宮町教委 /埼玉



 ◇一部保護者の反対に配慮

 ◇食育の意義付けで「弁当の日」


 鷲宮町教委は、一律の学校給食に代わり、町内小中学校で弁当を持参するなど児童生徒側が食事を用意する「弁当の日」を年3回、設けることを決めた。新年度から実施する。町議会の決議を受けた対応だが、一部保護者の反対運動もあり、板ばさみにあった町教委が難産の末に導入した。

 同町教委によると、各学期1日ずつ「弁当の日」を年3回、各校ごとに設ける。運動会など以前から弁当を持参する「行事弁当」のほか、自分でおにぎりをつくる「おにぎり弁当」、各家庭で自分で作ったり弁当づくりを手伝う「自作弁当」の3種類を想定した。

学校や学級によって設定日や内容は異なり、学校で用意したご飯を各自がおにぎりにするなどの対応も出てくるという。

 導入のきっかけは、昨年9月の町議会で可決された「学校給食に弁当の日を設けることについての決議」。学校給食の意義や食べ残しの問題、経費の負担増などから、給食自体を見直すことを背景に提起された。

 しかし決議後、一部保護者から「当事者の意見を踏まえていない」という異論が続出。断片的な情報で「給食自体が廃止されるのではないか」といった不安も広がり、鷲宮町子育てを守る会の呼び掛けに約5000人の反対署名が集まった。

 町教委は保護者らの意向も踏まえ、給食見直し論議には触れずに検討し、「食育」の場という意義付けで導入を決めた。春山清一・学校教育課長は「食にかかわる技能、弁当作りを通じた他者とのかかわり、食に関する知識の三つを学ぶ場にしたい」と話している。

 一方、守る会のメンバーは「住民側と議会決議双方の意向をくんだ評価できる内容」としながら、さまざまな家庭事情があり、「傷つく子供がいないことを願っている」としている。【金沢衛】

 ◇栗橋も年2回

 栗橋町教委も全小中学校で「弁当の日」を設けることを決めた。10日を弁当の日とし、新年度は5月と11月の2回設定した。小学校高学年と中学生は自分で弁当を作ってくるよう指導するという。

 同町は学力向上の一環として授業時間数を増やしたため、給食を提供する日が年間で5日増えた。これを機に「食」に関して関心を持たせる場に生かそうと検討したという。また、給食日数が増えることで、保護者の負担増にならないよう考慮もした。

同町教委は「保護者から異論はなく、理解を得られている」という。【金沢衛】

毎日新聞 2006年3月1日